08-02-08 「豪快さんだっ!/泉昌之」


河出文庫版後書き

 御茶ノ水駅から駿河台下まで歩く間に楽器店、CD店がバカみたいに乱立している。駿河台下を折れると今度はスキーやスノボの店がずらり。東大を主席で出た(と本書では記されている)豪快さんは、この景色をどう見ているのだろう。とても大学とは思えないこれ見よがしの高層ビルを横目に見ながら、かって「学生の街」と呼ばれたこの界隈も、今やただ単位を取るためだけに学校に通い、頭ん中は遊ぶことばかり考えている「大志」のない学生の街になってしまったものだな、と思うだろうか。
東大出身者が圧倒的に多い官僚達が描く日本の未来は、バブルがはじけてしまってからも相変わらず土建屋が屍にたかるハゲタカのように日本中を食い散らしている。悪夢は続いているのだ。
かたや出世を望まぬ安定志向の若者達。ちまちまと小さい恋愛をして小さい結婚して、小さい家を建てて、小さい子供を育てて小さい貯金をして、小さい老後を送って、小さい骨になって、小さい墓に埋められる。その間に小さい浮気の1つや2つはあったかも。おおお、なんたる小さき魂。
天下国家を論ずる、などと言ったところで所詮は自国の利益に還元される政策でしかなく、それすらも思わぬ卑小な政界、財界人達は己の利益のみに目を血走らせる。おおお、なんたる小さき魂。
「金儲けがなんぼのもんじゃぁ!!」
設けることが大事なのではなく、もうけた金をどう使うかが大事なんじゃないのか。豪邸建てていい服着てうまいもん食って金でいい女GETして幸せに暮らせりゃ「夢は叶った」と思うだろう。けれども人間の欲望で一番大きいのは衣食住ではなく「他人の心を掴みたい」というある種言葉は悪いが支配欲だ。
「人の心をぐいっと掴んで離さない、そんな魅力ある人間になれ!変態でもいい逞しく育って欲しい」と豪快さんは言うだろう。

泉晴紀(作画担当)

*河出書房より4月に発売された文庫版「豪快さんだっ!」の後書きです。
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2008年05月07日 未分類 トラックバック:0 コメント:0

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