アーカイブ8 20歳のころ

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 2年間勤めた会社を辞め、京都に引っ越したのは20歳の冬だった。
賀茂川沿いのその小さなアパートの部屋に引っ越したときには、あふれかえる段ボールの荷物で、かろうじて寝るだけのスペースを確保。
10箱以上の段ボールの中味はほとんど本だったが、すぐに古本屋に売ってしまった。
本などまた買えばいい。レコードも。
共同洗い場で、手洗いで洗濯をした。寒い冬の洗濯は本当に厳しかったが、昔の人はみんなこんなもんだったのだろうと思ったら、ゴム手袋してるだけマシか、気合いでその後2年以上は続けた。
 自炊も始めた。最初は鍋一つにフライパンが一つ、それに薬缶が一つだけ。鍋でメシを炊き、蒸らしている間にお湯を沸かす。お湯が沸いたらご飯を丼に空け、さっと洗って沸いたお湯をそこに入れて味噌汁を作る。おかずは出来合いの惣菜か簡単な炒め物だった。なにしろ冷蔵庫もないのだ。基本は使い切り。野菜はともかく、肉は残しておけない。近くの肉屋で100g売りのものを、少なめに売ってもらう。
 コタツ一つ、ストーブも扇風機もない部屋で、冬はガタガタ震え夏は裸でうちわ一本、昔の人はみんなこんなもんだったのだろう、我慢した。
 それは禅僧のような生活、単純な生活の実践だった。
 誰も知る人とていない京都での生活、天涯孤独のような生活は、いっそ清々しい想いだった。学校を出て会社も辞めて、ここからボクの生活が本当に始まるのだ。
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2010年10月15日 未分類 トラックバック:- コメント:-