’96-03-12「メシア・ストーンズ/アーヴィング・ベニング」

 横尾さんの装丁が良かったのと片岡義男の訳、それに角川春樹の復帰仕事、というので読んでみたけれど、今ひとつピンとこない物語だった。
 メシア復活のしるし、の物語。話を急ぎすぎてイージーな出会いが多すぎるし、なんの苦労もなしに目的に向かって一直線。ドラマ性ゼロ。しらけちゃうよ。ハリウッド映画の脚本みたいなもので、映像にすればもっと面白く観られるだろうけど。
 メシア・ストーンズを手に入れたからってメシアの出現を待っているだけのお話なんて何も語っていないのと変わらない。メシアの出現を期待してたって、いくらその兆候が現れたって、現れるんだか現れないんだか。現れたらなにかが変わる、なんて。奇蹟に酔うなよバカヤロー。メシアってものを無自覚に賛美しちゃってるところがそもそも気に入らないな。大いなる恐怖の出現でないと誰が言える?
 あらゆる宗教を超えた真理と語っていても、結局はキリスト教的世界の実現というキリスト教の神の概念に収斂されていっちゃうところがこの作家の世界の限界。神という概念が生まれるはるか以前から宇宙は存在してるし、宇宙は混沌から始まったという。神であれその混沌の中から生まれてきた。その宇宙の中のちっぽけな存在である人間がこしらえた神が語る真理など、例え真理であってもそれは真理の断片に違いない。人間が理解している世界なんてたかが知れている。ちっちゃい世界だなぁ。
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2006年07月20日 未分類 トラックバック:0 コメント:0

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